カラーのグレーディング

マスターストーン

カラーをグレーディングするには、調整した状態でファッション加工した石をマスターストーンと呼ばれるカラーの判っているダイヤモンドと比較します。

GIAのジェムトレードラボラトリー(GTL)は、無色から一般にファンシーと認められているほど濃い石までを完全に順次規定したダイヤモンドのセットを備えています。

このセットはGIAのダイヤモンドカラーグレーディングを規定し、GTLがグレーディングする全てのダイヤモンドはこれと比較されます。

グレードを決定するのは色相自体ではなく色の濃さなので、あらゆる標準範囲(イエロー、ブラウン共に)のダイヤモンドは、無色からライトイエローのマスターセットと比較してグレーディングされます。

わずかな色の相違は通常パビリオンを通して見たほうがよく見えるので、グレーダーは一般に裸石をひっくり返し、テーブルを下にしてマスターストーンと比較しています。

しかし、カラーを確実に知るために、グレーダーは、石をフェースアップでいくつかの方向から見て比較します。

一貫したカラーグレーディングは3要素に左右されます。

それはマスターストーン、環境、およびグレーダーです。

心理学者は色の記憶というようなものはないと言っています。

色の記憶とは非常に怪しいもので、実際にそのようなものはないという心理学者や生理学者もいます。

見本を持たずに布に合った糸を一巻き買おうとしたことがある人なら、それがどれほど難しいことか理解できるでしょう。

訓練を受けた多くのジュエラーは驚くほど他のCの判断は一貫していますが、記憶に頼って色をグレーディングできる人は殆どいません。

このため、多くのジュエラーは研究所と同じ様に自分のマスターセットを購入したり集めたりします。

完全なラボのセットほど広範囲なものは、あったとしてもごく稀です。

石の数は3個から5個で、価格やグレーディングのスケールの分岐点を示しています。

このため、観察により相応するグレードの位置を調べる事ができます。

グレーディングの環境も重要です。

作業室の壁や家具の色がグレーダーの一貫性に影響を及ぼす可能性もあります。

ニュートラルまたは落ち着いた色はグレーディングする場所の背景に最適です。

鮮やかな色は邪魔になります。

北向きの窓からの自然光(北光線)が伝統的にカラーグレーディングの際の基準ですが、(北光線は場所によって異なるので)カラーグレーディング用に特別に設計された照明の方が信頼できます。

このような効果は売り場でも役立ちます。

ニュートラルグレーやホワイトはグレーディングラボの壁や家具には最適ですが、ジュエリーショールームには無味乾燥すぎるとの意見に大抵の人は同意するでしょう。

イエローの色は、ブルーの壁と家具があると誇張され、ブラウンの壁と家具は隠されます。

しかし、ベリーライトブラウンまたはライトグレーはカラーを見るための良い背景となり、快適で友好的な雰囲気を出すのに非常に役立ちます。

グレーディングのプロセスで他よりはるかに重要な要素となるのはグレーダーです。

訓練、経験、および精神状態が一貫性に影響します。(皮肉な事に、色盲の人が標準範囲のダイヤモンドの優秀なカラーグレーダーになることが多い。色相ではなく色の濃さを判断するからです。)

経験と頻度が必要とされる微妙な区別を行うために不可欠です。

例えば、グレードの境界線上にある石の場合、ひどい風邪というようなつまらないことがグレーダーの判断に影響することがあります。

最高の状態の時でさえ、枠付きの石は裸石ほど一貫したグレーディングはできません。

これはダイヤモンドが枠の色を反射し、枠が石の一部を覆って色を見えにくくしているからです。

保険取換鑑定を行うジュエラーは通常、枠付きのダイヤモンドを鑑定し、一般に1グレードではなく3ないし4グレードの範囲の査定をしています。

各グレードは、ある範囲を示しているので、ちょうど境界線上にある石が時折問題となります。

結局グレーダーは自然の無限の変化を扱っているのであり、このような場合、判断は主観的にならざるを得ません。

GIA・GTLラボではこのような石は、必ず再グレーディングし直しています。

しかし同時に、訓練と練習により大抵の人は一貫したカラーグレーディングを学ぶことができます。

その間にあらゆる機会を利用して在庫のダイヤモンドを観察し、互いに比較してみましょう。

わずかな色の違いが見られるか調べてみましょう。

店にマスターセットがある場合は、それに親しみ、裸石をマスターストーンと合わせてみましょう。

様々な種類の照明で実験して、それが色の外観にどのような影響を及ぼすか、よりよく知る事もできます。

このような練習は全て、カラーグレーディングの背景となる概念を把握するのに役立ち、説明時に利用できるアイデアが生まれます。

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